不正競争防止法は、事業者間の公正な競争、およびこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じて、それにより国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です(第1条)。
この法律の中で、15種類の行為が「不正競争」として定められて規制を受けていますが、これらのうち、広告に関わる可能性が高い類型は以下の5つです。
・他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示をすることで、混同を生じさせる行為((周知表示混同惹起行為)第2条第1項第1号)
・自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を扱う等の行為((著名表示冒用行為)第2条第1項第2号)
・他人の商品の形態を模倣した商品を販売する等の行為((形態模倣行為)第2条第1項第3号)
・商品や役務の広告等に原産地、品質、内容、用途、数量等について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品や役務を扱う等の行為((原産地,品質等誤認惹起行為)第2条第1項第13号)
・競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為((信用毀損行為)第2条第1項第14号)
これらの不正競争があった場合、営業上の利益を侵害される(またはその恐れがある)ものは、侵害の停止や予防を請求することができます(第3条)。
また、それらの不正競争が故意または過失によりされて営業上の利益を侵害された場合には、生じた損害の賠償を請求することができ(第4条)、信用を害された場合には、謝罪広告等といったの信用回復のための措置を請求することもできます(第14条)。
他にも、前述の周知表示混同惹起行為または原産地,品質等誤認惹起行為を行った者には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科されることがあります(第21条第2項)。
以上のように、 広告における不正競争防止法には、
①事業者 - 他の事業者とのやり取りについて定めている
②広告の差し止めだけでなく、損害賠償や謝罪広告についても定められている
③直ちに刑事罰を科せられることもある
等の特徴があります。