化粧品の広告において、効能効果について誤解を与える恐れのある表現は規制されています。しかし、その一方で、「薬用シャンプー」「薬用クリーム」といった「薬用」の文字や、化粧品では標榜できない筈の「ふけ・かゆみを防ぐ」「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」といった文章を、店頭広告、テレビCMやインターネット等でご覧になったことのある方は多いものと思われます。
そういった広告は、化粧品ではなく「薬用化粧品」の広告であると思われます。薬用化粧品とは、薬機法上は「医薬部外品」という、化粧品とは全く異なる品目に属する製品です。化粧品の使用目的が「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つ」、いわば「キレイにする」こととされているのに対し、薬用化粧品では、主に「防ぐこと」を効能効果として標榜することができます(図1)。
図1.薬用化粧品(医薬部外品)の効能効果の範囲
薬用化粧品は、その効能効果として「防ぐこと」を標榜できると同時に、化粧品の効能効果を標榜することもできるため、化粧品よりも訴求力の高い宣伝広告を行うことができます。
その一方で、薬機法上は医薬部外品に該当するため、その製造・製造販売を行うためには医薬部外品製造業、医薬部外品製造販売業の許可を取る必要があります。また、品目ごとに課される規制として、化粧品では化粧品製造販売届(数枚程度)を提出すれば、その日から化粧品を製造販売できるのに対して、医薬部外品では製造販売承認申請書を提出し(数十枚程度)、6ヶ月程度の時間を掛けて承認を得なければなりません(図2)。また、その製造販売を開始してからは、化粧品よりも更に厳しい品質管理等が求められます。
図2.薬用化粧品(医薬部外品)を製造販売するには
※申請区分(5)−1の医薬部外品を想定
「薬用化粧品」と「化粧品」。非常に良く似た名称なので混同しがちですが、その効能効果、必要な行政手続き等には、大きな違いがあることをご理解いただければ幸いです。