前回のコラムでは、「製造販売元」と「発売元」の違いについてご紹介しました。その内容を踏まえて、今回は、「製造販売元(製造販売業者)」と「製造元(製造業者)」の違いについてご紹介します。
医薬品等の製造には、原料の秤量、混合、容器への充填等、様々な工程が含まれています(図1・製造業者A)が、薬機法上、法定表示が記載された個箱への包装や、容器・包装等に法定表示が記載されたシールを貼り付けることも製造行為に該当し(図1・製造業者B)、実施する場所においては製造業の許可が必要となります。
平成17年の薬機法(当時、薬事法)改正により製造販売業という業態が創設される以前は、「製造業」と「輸入販売業」という2種類の業態が設けられており、日本国内で化粧品を製造する場合は製造業者が直接、市場へ化粧品を出荷することができました。
しかし、例えば、複数の製造業者による工程を経た医薬品等について、容器の中に異物が混入している、健康被害が発生、汚れ等により容器の法定表示が判読不能、といった不良品・クレーム等が発生した際に、どの製造業者が責任を負うべきかが不明瞭である、という問題が指摘されていました(図1)。
図1.「製造販売業」の業態が創設される以前の状況
そこで、平成17年の法改正により、新たに「製造販売業」が創設され、医薬品等についての最終責任を負う者として、製造に関わる各製造業者を管理監督することが義務付けられるようになりました。その一方で、消費者は医薬品等に不良品・クレーム等が発生したとき、製造販売業者に責任を追及すれば事足りることとなりました(図2)。
図2.「製造販売業」の業態が創設された以後の状況
「製造販売業」という業態は、一見、解り難い印象を持たれることが多いようですが、消費者保護の観点から見ていただくと、その必要性をご理解いただけるのではないでしょうか。