前回のコラムに続き、もう少し化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)の違いについて確認してみましょう。
既にご紹介差し上げたとおり、化粧品と薬用化粧品とでは、標榜できる効能効果や製造販売に必要とされる行政手続き(品目毎の申請・届出手続き)等が異なりますが、その他、配合されている成分への考え方も大きく異なっています。
薬用化粧品を含む医薬部外品では、医薬品と同様に「有効成分」(薬理作用を示す成分)として何らかの成分が必ず配合されており、その他の成分は「添加物」として取扱われていますが、化粧品では、「有効成分」という考え方自体がありません(図1)。
図1.化粧品・薬用化粧品(医薬部外品)・医薬品の違い
そのため、例えば化粧品広告において何か特定の成分名を強調して「◯◯◯を配合」といった表記をすること(特記表示)は、あたかもその成分が有効成分であり、その化粧品が医薬部外品であるとの誤解を与える恐れがあるため、原則として認められないものとされています。
しかし、巷に流れている化粧品広告を見てみると、この特記表示を行っているケースが数多く見受けられます。これは、特記表示をするときには
①配合目的を併せて記載
②その配合目的は事実であり、効能効果については化粧品の効能効果の範囲内である
というルールが予め設けられており、それに従って広告を作成しているためです(図2)。確かに、このルールに従えば、その化粧品が医薬部外品であるとの誤解を受ける恐れはありません。
図2.化粧品広告において特定の成分を表示(特記表示)するときのルール
化粧品と薬用化粧品では成分の考え方が異なること、そして、化粧品広告には誤解を受けないためのルールが設けられていることをご理解いただければ幸いです。